シーフ、それは盗んだりちょこまか動いたりでトリックスター的な立ち回りを得意とするジョブである。
しかしピクセルリマスターでは大幅な弱体化を受け、シリーズでも随一の不遇ジョブへと変貌してしまった。
何が弱体化されたのか?どうして不遇ジョブとなってしまったのか?
当記事では強くもないのに弱体化されてしまった悲しきジョブ『シーフ』を掘り下げた有効活用法を紹介したい。
基礎スペック
- 習得
- 風のクリスタル
ステータス
力 | 体力 | 素早さ | 魔力 |
---|---|---|---|
25 | 26 | 40 | 18 |
14位 | 12位 | 1位 | 16位 |
装備
- 装備可能武器
- 短剣、投擲武器、ツインランサー
- 装備可能防具
- 戦闘帽子・軽装鎧・腕輪・盗賊の小手
「シーフ」の戦術
昔のシーフ
以前はパーティに一人は就かせておきたい、攻略する上で比較的重要度の高いジョブだった。
理由は以下の通り。
- 「隠し通路」で隠し通路が発見出来、探索が有利になる
- 「とんずら」習得で戦闘から確実に逃走出来、雑魚戦での余計な消耗が抑えられる
- 「ダッシュ」で移動が早くなり、ゲームテンポが改善される
- 「盗む」で様々なアイテムが手に入り、攻略が有利になる
- 「警戒」でバックアタックが防げ、雑魚戦での余計な消耗が抑えられる
- 時空魔法「リターン」、リターンが発動する「ワンダーワンド」はバックアタックを無効化出来るため、これらの入手後は「警戒」の重要度が下がる
- 最も素早いジョブなので行動順が誰よりも早く、戦略的に行動が出来る
実際のところピクリマでもこれらの能力そのものは弱体化されていない。
では何が弱体化なのか?
それはピクリマのシステム面でこれらの長所が消されてしまった、という点にある。
潰されたシーフの長所
ピクリマで変更されたシステム面でシーフに影響しているのは以下の通り。
- 隠し通路はアビリティなしでも踏み入れさえすればルートが表示されるようになった
- 踏み入れるまでは表示されないので、全く意味がないわけではないが
- 家庭用版から『エンカウントオフ』が選べるようになった
- 任意とはいえ戦闘そのものが発生しない状態に出来るため「とんずら」「警戒」が必要ない
- エンカウントオフできない強制戦闘であるボス戦はそもそもシーフが得意な相手ではない
- 任意とはいえ戦闘そのものが発生しない状態に出来るため「とんずら」「警戒」が必要ない
- デフォルトで二倍速ダッシュが搭載されている
- アビリティ「ダッシュ」で四倍速になるのだが、早すぎて制御しづらく、ゲームテンポが改善されるかと言われると微妙
- 戦闘開始時のATBゲージ初期値がランダムに変更されている
- 高確率であれども”確実に先手を取る”という戦略性がなくなっている
- 行動開始時のATB停止時間の廃止
- 以前は多少コマンド入力にもたついても遅れを取ることはなかったのだが、廃止のせいでコマンドに迷ったりもたつくと敵の行動が早まってしまう
- オートバトルと併用する事である程度解決出来るのだが、「盗む」は盗みに成功する度にコマンドを都度選びなおす必要がある
- コンフィグで「ウェイト」を選んでいても素早いコマンド入力が求められるのは一緒
- なまじシーフが素早いせいで余計な時間が進み、敵が多く行動するのでパーティが消耗する、という明確な悪影響を出している
- 行動スキップが実装され、何もしないで先送りにされる時間が増えた
- 適切なアビリティのないシーフは素早いのに「盗む」以外仕事がない、というシーフの短所が強調される形に
- ブースト「獲得ギル」の実装
- 最大4倍までブーストがかかるので、道中でせかせか盗んでは金策に当てる必要がなくなっている
- 逆に各種0倍ブーストではシーフの「盗む」が生命線になるので、制限プレイならシーフは重宝される
- 最大4倍までブーストがかかるので、道中でせかせか盗んでは金策に当てる必要がなくなっている
見事にシーフの長所のほとんどが潰されている。
元々戦闘向きなジョブではないシーフにとって、特に『エンカウントオフ』による雑魚戦スキップは非常に致命的なものとなっている。
アビリティ「盗む」は強力だが…?
シーフの長所は尽く潰され、もはや「盗む」位しか残っていない。
「盗む」の強さとして以前紹介した通り強力なレアアイテムを複数入手出来、攻略が有利になる事は変わっていない。
82k3.hatenablog.com
シーフの残されたアイデンティティと言っても差し支えない「盗む」だが、アビリティさえ習得していれば「黒魔道士」や「召喚士」が使っても同じ効果なためシーフである必要性がない。
素早さで見ても「狩人」や「魔法剣士」が使う方がその後の展開が良い。
習得も累計110ABPと簡単で、なんなら獲得ABPブーストのおかげで風のクリスタル直後から習得する事も難しくない。
「盗む」だけ習得したら後はラストフロアで全ジョブマスターまで戦闘の機会なし、「ダッシュ」や「隠し通路」を適時つければシーフそのものに用はない、となりがちだ。
「シーフ」が真に取るべき戦術
『エンカウントオフ』は使わない。『ブースト機能』は等倍以下を選ぶ。
後はサボりを解消するための適切なアビリティをつけてやれば、以前のような輝きを取り戻せるだろう。
つけるべきアビリティ
ここでは「盗む」をした後に何も仕事をしなくてもいいような構成ではなく、雑魚やボス相手に盗んだ後もしっかり立ち回れる構成を重視している。またパーティ内の誰か一人はシーフでいると何かと便利なため、職歴を見据えてパーティの誰が就いてもよいようにメンバー4人が以下のアビリティのいずれかを習得しておくと良いだろう。
格闘
最序盤からつけられる物理職定番アビリティ。序盤なら低体力や装備の貧弱さも気にせず前列に置けるし、「円月輪」入手後しばらくは後列からそれなりの火力が出せる。「マインゴーシュ」入手後は「エルフのマント」と合わせて回避による前列での継戦能力を確保出来る。第二世界以降は『格闘忍者』の下位互換になりがちだが、強めの武器が一品づつしか手に入らない第一世界では『格闘シーフ』が物理アタッカーとして活躍してくれるだろう。
鞭装備
力が上がり後列から安全に攻撃できる上に、追加の麻痺もシーフの素早さと相性がいい。麻痺耐性のある雑魚は少なく、「鞭」や「チェンウィップ」の攻撃力が物足りなくなる時期でも麻痺で安定して『いい仕事』が出来る。第二世界序盤からの立ち回りを見据えて、第一世界からサポート役は「魔獣使い」を育てておくといいだろう。
弓矢装備
こちらも力が上がり後列から安全に攻撃できる上に、多様な追加効果がシーフの素早さと相性がいい。「キラーボウ」「疾風の弓矢」は手数が重要なのでシーフが担ぐ事に意味を持たせられる。物理職がシーフに転職するなら「鞭装備」よりこちらがおすすめ。
魔法剣
魔法剣「ドレイン」なら攻撃の度に回復出来るので、素の体力が低くてもそこまで気にならない。「ドレイン」前提なら回復の必要がないので、防御力と耐性の優秀さでシーフの弱点を補える「ボーンメイル」を常用出来る。逆吸収してくるアンデッドはファイア系で殲滅。状態異常が効く相手なら魔法剣「スリプル」等で本家より素早くデバフが撒ける。「魔法剣士」と違って毎回魔法剣を使う必要があり、素早さ最高とはいえ1ターン遅れるのが難点。
刀装備
力の補正値が高く、シーフの素早さでクリティカルを多く狙える。こちらも紙防御のままなのでやられる前にやる。習得ABPが比較的安いのが魅力。
歌う
素早さ最速を生かして「愛の歌」、効きが悪い相手には「誘惑の歌」をひたすら歌い続ける構成。ストップ・混乱の両方に耐性がある雑魚は少ないので意外と腐りにくい。特にストップはATBゲージをリセットする効果があるので、相手によっては一度もターンを与えず完封出来る。MPを消費しないのでとりあえず「愛の歌」を使っておけばよい、というオートバトルとの相性の良さも◎。魔力が上がらないので「レクイエム」の火力はやや低め。
青魔法
「フラッシュ」「ミサイル」「針千本」「エアロガ」「レベル3フレア」「マインドブラスト」辺りが主軸のサポート特化型構成。状態異常系は低い命中率を素早さで補う事が出来るので好相性。「ゴブリンパンチ」は本家「青魔道士」より貧弱なので期待しない方がいい。
時空
「コメット」さえ使えればサポート役の火力としては及第点。燃費も良いので雑魚相手に遠慮なく使っていける。効く相手には「グラビデ」「グラビガ」も良い。ただ同時に「リターン」が使えてしまうので「警戒」の意味は薄れてしまう。「リターン」自体はレア盗み狙いとの相性が良い。
召喚
「エアナイフ」+「シルドラ」で1.5倍強化の全体攻撃。全ジョブ最速行動からの全体攻撃による雑魚散らしは非常に合理的な戦法。シルドラ以外の攻撃系召喚獣だと装備品で属性強化が出来ないので殲滅力が落ちる。
元々装備品で強化出来ない「バハムート」「リバイアサン」「オーディン」、「ゴーレム」等の補助なら装備品の影響がない。LV4以降の召喚獣と相性が良いので、主に第三世界で活躍出来る構成と言えるだろう。
地形
魔力が低いままなので基本低火力だがノーコストで後列OK。砂漠地帯での「流砂」、沼地地形での「底なし沼」、洞窟地形での「落盤」といった魔力が影響しない効果もあるので、低魔力でもそれなりに実効性がある。
何が発動するかわからないギャンブル性も手数の多さでフォロー可能。習得がたった25ABPととても簡単なので、他につけたいアビリティがない時はこれで。
峰打ち
武器を外した素手攻撃で「峰打ち」。火力は全く出ないが50%で発生する麻痺を両手で2回抽選、実質75%麻痺。
「鞭装備」「マインドブラスト」が使えるならそちらで良いが、たった10ABPなので「地形」より更に簡単にセット出来る。
乱れ撃ち
「チキンナイフ」の計算式は力と素早さの合算が重要なので、力が低くとも素早さは高いシーフならそれなりに扱う事が出来る。
「とんずら」が発動しないだけなら「狙う」「ぶんどる」「峰打ち」等でも良いが、チキンナイフの火力を活かすなら「乱れ撃ち」一択だろう。シーフらしからぬ高火力が出せるが前列に置く必要があるので「ミラージュベスト」でフォローしてあげたい。ハイリスク・ハイリターンな構成と言えるだろう。
ジャンプ
「チキンナイフ」は使いたいけど「乱れ撃ち」は未習得な人向け。DPSは下がるが隊列無視で必中、ジャンプ中は無敵とシーフ自体と相性がいい。
溜める
こちらも「チキンナイフ」を後列から狙うアビリティ。無敵時間はないがDPSをあまり下げずに済む。レベル60辺りから9999の壁に阻まれる。
踊る
こちらも「チキンナイフ」を「剣の舞」で後列から狙えるが、欠点が2つ。一つ目は「ラミアのティアラ」が装備出来ないので発動率が1/4な事。二つ目はレベル30から9999の壁に阻まれる事。発動すれば4倍ダメージなので期待値は等倍だが出ない時は出ないのも含めやや大味。
シーフのアビリティと相性の良いジョブ
とんずら
- シーフ
- 最も素早いジョブが先手で逃走、という合理的なビルド。
- 侍
- 「正宗」による先駆け効果で戦闘開始直後に即逃走。バックアタックでも関係なく先駆けられるので逃走可能な敵は完全無消耗になる。
盗む、警戒
ぶんどる
- ナイト、竜騎士、侍、狩人、薬師
- 物理ダメージのついでに盗める都合上、物理アタッカーが持つのが合理的だろう。クリティカル・特効以外の追加効果が発動しないので、「魔獣使い」の鞭全般や嬉しい効果が追加発動する武器との相性はイマイチ。
- 忍者、魔法剣士
- 「戦う」だと「とんずら」が発動してしまう「チキンナイフ」を利用するためのビルド。「乱れ撃ち」習得前でもDPSを落とさずに使える唯一のアビリティ。
- シーフ、ものまね師
- 「ツインランサー」で2回「盗む」が発動するので盗む成功率が実質二倍。なお左手武器では「ぶんどる」が発動しないので二刀流は意味がない。
まとめ
シーフを起用する時点でパーティ全体の火力はどうしても落ちる。意味のある構成でシーフの良さを生かしてあげよう。