ピクセルリマスター版FF5あれこれ

ピクセルリマスター版FF5についてあれこれ書きます

【ジョブ考察】竜騎士はなぜ不遇?


竜騎士。それはFFシリーズでも屈指のカッコよさと独自性を持ったジョブである。
しかし残念ながらFF5において竜騎士のジョブとしての評価は極めて低い、と言わざるを得ない。
なぜそんな事になってしまっているのか。低評価を覆す事は出来ないのか。
当記事では随一の不遇ジョブ『竜騎士』を掘り下げた有効活用法を紹介したい。
なお竜騎士に対するネガティブな表現が多くなってしまうことを予めご容赦して頂きたい。

基礎スペック

習得
土のクリスタル

ステータス

体力 素早さ 魔力
42 39 29 12
5位 5位 6位タイ*1 18位

装備

装備可能武器
短剣・槍
装備可能防具
兜・重装鎧・軽装鎧・小手

習得アビリティ

Lv 名前 効果 能力補正 必要ABP 累計ABP
1 !ジャンプ 一定時間後に必中・隊列無視攻撃・槍装備時2倍 - 10 10
2 !竜剣 魔力依存のHP・MP吸収攻撃 - 150 160
3 槍装備 槍を装備出来る 力42 400 560

竜騎士」の戦術

竜騎士」は何が不遇なのか?

ステータスは戦士系として高水準にまとまってる上、素早さも意外と高い。
メイン武器である槍も第一世界で最高攻撃力の「ジャベリン」、第二世界バリアの塔でワンランク上の「パルチザン」、第三世界では高攻撃力かつ力+3補正の「ホーリーランス」、最終的には量産可能な武器で最強攻撃力かつ竜族特攻の「飛竜の槍」と、これだけ聞くと決して悪くない。
では竜騎士の低評価は何が問題なのか?
それはずばり『「ジャンプ」が異質すぎる』という点なのである。

「ジャンプ」とは何なのか?

「ジャンプ」を区切って説明すると

  1. 画面上部に飛び上がって「隠れる」と同じ完全無敵状態になる
  2. 飛び上がり中は敵・味方、単体・全体攻撃問わず全ての対象から外れる*2
  3. 一定時間(ATB135程度)経過後に落下、必中・隊列無視・槍装備時2倍攻撃

である。
以前のSFC版ではATB80の時間経過後に落下だったため、ピクセルリマスター版ではジャンプが弱体化していると言ってもいい。

そもそも「ジャンプ」がFF5と相性が悪い

「ジャンプ」の特性である必中・隊列無視・槍装備時2倍攻撃はいかにも強力そうに見える。
が、実のところ槍が元々命中率100%の武器で必中効果のありがたみは薄く、待機時間が長いせいで普通に二回「たたかう」にDPSで負けてしまう。
隊列無視も重装備可能な竜騎士には恩恵が少ない。
シーフや忍者といった軽装・高速・低耐久なジョブほど恩恵が得やすいのだが、『二倍攻撃は槍限定』が足を引っ張る。
素で槍を装備出来るのが竜騎士・すっぴんしかいないため、1つしかアビリティが付けられない通常ジョブでは「ジャンプ」と槍が併用出来ない。
ただでさえ待機時間が長いのに火力が変わらずDPSが下がる、となれば使う意義を見出す方が難しい。
上記の欠点に加え『ジャンプと相性の良いアビリティ』が極端に少ないのも問題である。
最も相性が良いのは「二刀流」であり単純に火力が倍になり、盾を捨てるデメリットを隊列無視によって補っている。
だがこれ以外のアビリティとなると「両手持ち」は槍に適用されず*3、「格闘」も竜騎士自身の力がなまじ高いため実効性が低い。
槍に「魔法剣」はかからず、「乱れ撃ち」「踊る」ではコマンドが競合してしまう。
「バーサク」状態ではジャンプが出来ない。
このように「ジャンプ」と相性が良いと言えるアビリティがほぼなく、FF5の醍醐味であるジョブとアビリティのコンビネーションという面白みに欠けてしまっているのである。

「ジャンプ」する竜騎士の最大の落度

そもそも「ジャンプ」する竜騎士、というのは構造上の欠陥が存在している。
それは『重装備かつ高体力で後列OKというタンク役にピッタリの竜騎士が、本来行うべき味方へのダメージの肩代わりを味方に押し付けている』という点である。
せっかく高耐久なジョブなのに敵が攻撃するタイミングで場に不在。
落下する頃には味方は半壊、一人だけ元気な竜騎士がアイテムだけで立て直す、という展開。
あるいは被弾した竜騎士と「白魔法」のタイミングが噛み合わずに回復がかけられず寝転んでしまいジリ貧、という展開。
これはFF4を遊んだプレイヤーであれば見覚えがあるものではないだろうか。
つまり竜騎士最大の落度は「ジャンプ」のせいで味方と連携が取れないという事である。

FF5竜騎士が真に取るべき戦術

「ジャンプ」のDPSが低いせいで花形であるメインアタッカーにはなれない。
「ジャンプ」のせいで味方と連携が取れずサポートも受けにくい。
「ジャンプ」のせいでピンチになる。
かといって「ジャンプ」しないなら竜騎士である必要がない。
このように「ジャンプ」しかない上に連携も取れない竜騎士は主役になれる器ではないのだ。
ではどうしたらよいか?簡単である。主役になれないなら『脇役』になれば良い。

『脇役』としての竜騎士

『脇役』とは何か?

RPGにおける『脇役』とは何か?ずばりメインアタッカーを引き立てるサポート役である。
そしてサポート役たる『脇役』に求められる能力とは何か?簡単に言えば『良い仕事をする』『死なない』そして『サボらない』である。
例えばサポート役としてイメージしやすい「時魔道士」を見てみよう。低耐久だが「ヘイスト」という強力なバフを味方に撒く『良い仕事』が出来る。「スロウ」も入ればATB速度差はかなりのものとなり、戦闘が大幅に有利になるだろう。
しかし「ヘイスト」や「スロウ」を撒き終わった後はどうだろうか?「コメット」や「メテオ」があればそれで間を繋げるだろうが、それらがない第一世界では手持ち無沙汰になってしまった、という経験はないだろうか。「リジェネ」ぐらいしかやることがなく低耐久も相まってただ防御しているだけ、これが『サボっている』状態である。
このサボりを解消するためには「弓矢装備」や「黒魔法」といったある程度の火力が出せるアビリティがあれば良い。もちろん攻撃力が高いに越したことはないものの、あくまでも「ヘイスト」というサポートが主軸である事を考えると”ある程度”で十分、重要なのは噛み合わせの方、となる。

竜騎士のとても高い『脇役』適正

改めて見てみると竜騎士は『脇役』に求められる素質を完璧に備えている。
素早さは6位、体力は5位な上に重装備可能な上に後列OKで耐久性も高く、暇があれば「ジャンプ」でそこそこの火力が出せる。
「ジャンプ」の高すぎる生存力も不意を突かれた強烈な一撃で一気に全滅するリスクが回避出来るため、サポート役として見れば都合が良い。
実は竜騎士こそ『死なない』『サボらない』を全ジョブ中でも最高レベルで遂行してくれるのだ。
竜騎士に足りないものは主軸となる『良い仕事』ことサポート能力だけ。
そして足りないものはアビリティで補う、それがFF5である。

つけるべきアビリティ

サポート能力という関係上、意外と物理職より魔法職アビリティの方が相性が良い。

「召喚」

非常にオススメである。
と言うのも「リバイアサン」や「バハムート」といった派手な攻撃呪文ばかりに目が行きがちだが、実は「召喚」はサポート能力も非常に高いからだ。
「レモラ」による麻痺、「ゴーレム」「カーバンクル」による防御、「カトブレパス」「オーディン」による即死。「フェニックス」によるHPMP完全蘇生に至っては「ジャンプ」の高すぎる生存力と最高に噛み合っている。*4
都合が良い事にこれらのサポート能力は魔力や属性ロッド等による強化を必要としていない。
ボス戦では徹底したサポート、雑魚戦では「エアナイフ」+「シルドラ」と使い分けも可能で正に名脇役に相応しいだろう。
また竜騎士のLv2アビリティ「竜剣」が魔力依存攻撃で「召喚士」と好相性なので、召喚士一本だとABPが余る区間*5竜騎士に寄り道すると効率よく習得出来る。

「時空」

開幕に「ヘイスト」「ヘイスガ」、必要に応じて「スロウ」「グラビデ」「ストップ」とデバフ撒き。
「テレポ」や「リターン」があるため、「ジャンプ」で一人生き残っても仕切り直しが出来る。
攻撃手段が魔法ではないので「ミュート」による全体封じも有効だ。
ジャンプ中も「リジェネ」の体力回復が発生するのも生存性に貢献してくれる。
本来なら「クイック」から「ジャンプ」するコンボもあるのだが、Steam版Ver1.0.8現在ではフリーズするバグがあり使用出来ない。
追記(2023/05/07)
家庭用版では「クイック」から「ジャンプ」してもフリーズしない。
消費MPこそ高いものの待機時間ゼロで必中隊列無視倍率2倍×2回攻撃と「ジャンプ」の弱点を克服した高いシナジーを発揮出来る。
ジャンプの待機時間が丸々消えるので味方と連携したタンク運用も出来る上にアタッカーとしても十分な火力が出せる、もう脇役とは言わせない必殺コンボ。
追記(2024/02/03)
Steam版Ver1.1.0アップデートにて「クイック」から「ジャンプ」してもフリーズしないようになった。
これでSteam版ピクリマでも思う存分クイックジャンプが使える。

「白魔法」

「レイズ」「ブリンク」「リフレク」等の魔力が関係ない補助魔法が意外と多いため好相性。
ただメインで使いたい「ケアル」系は魔力の影響が大きく回復量も低くなりやすいので、回復に関しては出来れば他の回復手段も併用していきたい。
「召喚士」とは違った意味で「竜剣」が「白魔道士」と好相性なので、こちらも寄り道としてオススメ。

「調合」

回復、補助、蘇生となんでもアリのバランスブレイカーとして有名な「調合」。
『良い仕事』だが誰が使っても同じ効果、それこそ『脇役』に相応しいアビリティだ。

「蘇生」

ノーコストで味方全員戦闘不能から復活。しかもMP全回復効果付き。
ただ一人生存した竜騎士が放つ究極奥義、一発逆転も夢じゃないロマン枠。
いざという時「フェニックス」のMPが足りないかも…という「召喚」のリスクを完全回避出来る。
ただし累計ABP630と薬師をマスターする必要があり、それはそれはコストが高い。

「治癒」

ノーコストで味方全員にエスナ。
「蘇生」よりはお安く習得出来るが『良い仕事』と言うにはいかんせん地味。

「青魔法」

いやらしい状態異常が豊富な「青魔法」も『脇役』と相性が良い。
竜騎士本体の高い体力のおかげで「ホワイトウインド」の回復量も高め。
「ゴブリンパンチ」という後列攻撃もあるので「ジャンプ」一辺倒にならないのも良い。

「あやつる」

誰が使っても同じ仕事でやはり『脇役』に相応しい。
成功率を上げる「ヒュプノクラウン」は重量のせいで素早さが下がるので注意。

「歌う」

強力だが限定的なバフ・デバフしか出来ない「歌う」も『脇役』に相応しい。
「体力の歌」による「リジェネ」付与も「ジャンプ」と相性が良い。
ただし「レクイエム」だけは魔力が影響するため威力が出にくい。

ちなみに「吟遊詩人」も「竜剣」と相性が良い。

「居合抜き」

全体即死。色んな意味で言うことなし。

「なだめる」

魔獣系かつストップ耐性のない敵に「ストップ」。発動条件は厳しいが決まれば必中なのが強み。
エクスデス城やピラミッドでは効く相手も多いので一考の余地アリ。
「愛の歌」の方が使い勝手は良いがこちらは習得ABPがたったの10。他につけるアビリティがないなら。

「警戒」「先制攻撃」「ダッシュ」「隠し通路」

なくても良いけどあると便利、そんなアビリティを付ける係も『脇役』に相応しい。

「落とし穴回避」「ダメージ床」

エクスデス城等で期間限定的に。
良くも悪くも「地形」が全ての風水師よりは安定した戦闘が出来る。

「薬の知識」

縛りプレイ等で「調合」を使いたくない人向け。

「ラーニング」

普段から付けるアビリティではないが、一応。

どうしても『主役』にしたいなら

まずは最序盤から習得可能な物理万能アビリティ「格闘」。竜騎士への荷重値は+8なのでとりあえず付けてもそれなりにダメージを伸ばせる。
薬師で「調合」ついでに「飲む」を習得したのならこちらもオススメ。物理系として一通り揃っている竜騎士の自己完結性と噛み合っている。
第三世界以降は瞬間火力なら「時空Lv6」で『クイック+ジャンプ』のコンボが一番。
継続火力なら「二刀流」が最適だが、「リボン装備」も面白い働きをしてくれる。
竜騎士元来の高いステータスを「リボン」で伸ばせる上に、竜騎士が装備出来ない唯一のジャンプ二倍適用武器「マンイーター」が装備可能になる。

補正値の暴力
アビリティではないが『全員竜騎士にする』という戦法も有効である。これなら連携もクソもなく、足並み揃った攻撃が可能である。「アントリオン」や「ミノタウロス」といった少人数で戦わされるボス戦では馬鹿に出来ない戦法となるだろう。

相性の良い装備

茨の冠
高防御、睡眠耐性持ちだが「スリップ」と魔力-5が付いてくる。しかしながら「ジャンプ」の滞空中はスリップダメージが発生しない。というかスリップダメージ自体が1周期1ダメージ固定でヘイストなしでも1ターン4~5ダメ、ヘイスト時なら2~3ダメだけなので入手時期を考えると全く痛くない。「兜」装備可能ジョブは他に装備すべき頭防具が少ない事もあり、竜騎士に限らず最終装備候補にしてよい。隠れた優秀装備といえる。ただし魔力-5は決して小さくなく白魔法「ケアルガ」や青魔法「エアロガ」の威力が下がるのでその点は注意。
ボーンメイル
「茨の冠」と合わせて高防御力と優秀な耐性で要塞キャラに。炎&聖弱点は気にせずともよいが、対策するなら「フレイムシールド」「炎の指輪」でフォロー可能。回復に難があるのでアビリティは「ホワイトウインド」が使える「青魔法」がオススメ。「ドレインキッス」「デスポーション」で回復出来る「調合」も好相性。
守りの指輪
「茨の冠」「ボーンメイル」と更に合わせて。ボーンメイルのリジェネ無効を貫通してリジェネがかかるので回復いらずに。こちらは「エルメスの靴」と競合するので「時空」によるヘイスト付与がオススメ。いざとなれば「クイック」で時間停止中にスリップダメージを上回るリジェネ回復で味方も含め安全にHPを持ち直せる。ボス相手等の長期戦ならエルメスの靴より防御力も高くリジェネも相まって優秀だが、エルメスの靴を脱ぐ関係上『麻痺』『スロウ』『ストップ』耐性が外れるのでその点は注意。
イージスの盾
「リボン」を装備しない(出来ない)場合、石化耐性を得る方法はこれだけ。ピクリマ版イージスの盾はこの盾でしか回避出来ない魔法も増えているので、最終装備候補として見ても優秀。石化攻撃の多いネオエクスデス戦は特に必須と言える。
呪いの指輪
毒を食らわば皿まで。守りの指輪と比べて防御力は高いが、リジェネはつかないし何よりジャンプ中でも「死の宣告」のカウントは進む。「死の宣告」はボーンメイルの即死耐性をも貫通し、一度倒れると戦闘中の蘇生が非常に困難なため、「死の宣告」のカウントは絶対に終わらせてはいけない。短期決戦ならカウントも関係ないので雑魚戦向け…と言いたいところだがだったら最初から「エルメスの靴」で良い。エルメスの靴が強すぎるのが原因なので、エルメスの靴縛りプレイとかなら一考の余地アリかもしれない。

竜騎士のアビリティと相性の良いジョブ

ジャンプ

すっぴん
竜騎士以外で槍がデフォルトで装備可能なジョブ。
ものまね師
「槍装備」と組み合わせて。組み合わせてどうなるかは「ものまね」次第。
シーフ
倍率2倍こそかからないものの低耐久なシーフでもある程度の攻撃力と生存性が両立出来る。最強だが癖の強い武器「チキンナイフ」を持て余しているなら悪くない選択肢。

竜剣

召喚士
威力が魔力依存な上にMP回復も出来るので燃費の悪い「召喚」と相性抜群。
白魔道士
攻撃手段が限られる白魔道士に無消費魔力依存攻撃は丁度良いアビリティ。回復用のMPが確保出来るのも好都合。
吟遊詩人
意外と高い魔力を活かしつつ低耐久をHP吸収でフォロー、逆吸収してくるアンデッド相手には「レクイエム」で対応可能。隙のない組み合わせ。
風水士
高い魔力を活かせるし、「地形」よりは確実にダメージを与えられる。Ver1.1.1から隊列無視効果がついた「ルーンのベル」と合わせてMP回復に使うのも面白い。
青魔道士
青魔法は低命中率も合わせて意外と燃費が悪い。また「ホワイトウインド」の回復量キープにも役立つ。強力だが回復に難のある「ボーンメイル」とも相性◎。

槍装備

モンク
力が上がる槍「ジャベリン」とセットで使えば攻撃力上昇と合わせて強力。土のクリスタル入手直後からジャベリンが型落ちするまでの非常に短い期間で間に合えばの話だが。

まとめ

「忍者」や「魔法剣士」といった花形アタッカーを支える縁の下の力持ち、そんな言葉がピッタリの「竜騎士」。
いつジョブチェンジしても同じ能力で同じ仕事が出来るので、『脇役』が欲しい時に参戦させてあげよう。
派手さはなくともきっと『良い仕事』をしてくれるはずだ。

*1:赤魔道士、踊り子と同じ

*2:唯一の例外はマシンヘッドの「迎撃ミサイル」

*3:「二刀流」同様に盾を捨てるデメリットをフォロー出来るので、槍が両手持ち適用武器でないのが本当に残念

*4:ただし消費MPが99ととても多いのでMP残量には注意

*5:第二世界終盤まではLv3召喚、次元の狭間まではLv4召喚でも十分